研究概要 |
本研究では, 入力拘束を持つ機械システムに対する高機能・高性能制御アルゴリズムを構築することを目的とする。今年度の研究内容・成果を以下に列挙する. (1) 研究代表者は, 昨年度, 状態依存可変ゲイン制御則およびオンライン目標信号修正機構から構成される拘束制御システムに対するサーボ制御アルゴリズムを提案した. 今年度は, この手法を, 外乱およびモデル化誤差が存在する場合にも, アルゴリズムの可解性が確保されるように拡張を行った. (2) ロバスト化された制御アルゴリズムは, 厳密には, 毎時刻二変数のLMI問題を解くことが必要となるが, この場合, 毎時刻の計算時間が長くなる問題が生じた. そこで, この問題を, 逐次的に一変数の最適化問題に分解し, 高速に準最適解を得るアルゴリズムを構築した. このとき, 最適化問題の構造を活用し, 保守性が出来るだけ伴わないように工夫を行った. (3) 上記制御アルゴリズムを, ディジタル計算機上に実装し, ツインロータヘリコプターモデル実験装置に適用し, その有効性を検証した. 本実験装置は, VTOL航空機やヘリコプターと類似した, 不安定で, 非線形性の強いダイナミクスを持つ. その結果, ロータ推力を限界付近まで用い, 高速に目標値へ追従可能であり, かつ, 外乱ロバスト性が極めて高い制御系を構築できることを確認した. なお, 1回の最適化は0.5ms程度で解く事が可能であり, 十分実用化可能であることを確認した.
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