研究概要 |
科学技術の発展とともに様々なシステムの自動化が目指されているが,自動車,航空機プラント操業などの現実社会で稼動するシステムに対して,完全に自動で起こりうる全ての事象に対応することは難しく,また状況に応じて高度な判断が要求される場合があるため,人間による手動制御が必要不可欠である.しかし,不安定なシステムの安定化・高効率化・高性能化には自動制御が欠かせない技術であり,数多くの実システムでは手動制御と自動制御が混在している.このような手動制御と自動制御が混在するシステムでは,それぞれの制御が相反する場合がある.航空機において自動制御と手動制御のミスマッチからpilot-induced oscillationが生じ大惨事を招いたことは,手動制御と自動制御の折衝・協調・融合を考慮したSafe-Manual Control(以下,SMCと略す)の必要性・重要性を極めて強く示唆している. H18年度は,SMC (Safe Manual Control)の理論的な発展を目標とし,既に検討されている単振子のFuruta Pendulumシステムにアクチュエータの出力絶対値に飽和が存在する場合を発展・応用を目指した.解析すべき位相平面内の制御可能領域を得る具体的方策として,近似領域を計算機による数値解法的な問題へと帰着した.これらの方法をセグウェイと呼ばれる,同軸上に車輪がついた不安定な乗り物の制御に応用し,本手法の有効性を検証した.これらの結果は雑誌論文・学会等で発表済みである.また,自動制御入力として申請者らが携わってきた状態依存型フィードバック制御などの非線形制御を用いた場合のSMC制御問題を考え,そのときの制御可能領域を数値的に計算することについても検討を行った.
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