本研究は、高温履歴を受ける高炉スラグコンクリートにおいて、骨材周囲に発生する微細損傷がコンクリートのひび割れ抵抗性の低下に与える影響を明らかにし、その微細損傷の制御方法を提案することを目的としている。 18年度には、微細損傷の発生要因として、骨材の熱膨張係数が関与することを初めて明らかにした。熱膨張係数の異なる粗骨材を用いて、高温履歴を与えた後の圧縮強度・引張強度・曲げ強度を計測した。高温履歴を与えない温度一定の養生条件では、異なる粗骨材を用いても強度に違いは見られなかったため、熱膨張係数に着目した、研究の仮説のうちの大きな一つが検証された。また、水結合材比が小さい場合には、ペーストの自己収縮の影響も大きい可能性を指摘した。さらに、この微細損傷が、高炉スラグ微粉末を使用した場合に顕著になることを明らかにした。 18年度には、AE法により高温履歴中の損傷の発生の時間を同定することを試みた。しかし、温度制御装置内のノイズが非常に大きく、損傷の発生時に検知されると思われる弾性波がノイズに埋もれてしまった。一方で、高温履歴を受けた後の試験体を圧縮載荷する際にAE法で測定を行った結果、既往の研究における健全なコンクリートのデータと比較して、微細な損傷が存在していることを示す結果が得られた。18年度はAE法については基礎的な検討に終わったが、引き続き19年度に損傷の発生メカニズムの解明につながるデータを取得するよう、検討を続ける予定である。
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