研究課題
高炉スラグ徴粉末を含むコンクリートが高温履歴を受けたときに、骨材周囲に生じる損傷によって、力学的特性に悪影響が生じることを実験的に示した。その原因は、骨材とセメントペーストの熱膨張係数の差(徴視的温度応力)、ペーストの自己収縮が骨材に拘束されること、が主なものである。力学的特性のうち、特に引張強度と弾性係数に悪影響が表れることが分かった。引張強度の低下は、構造物のひび割れ抵抗性の低下に直接結びつく。このような現象は、普通セメトン単体の場合にはほとんど見られず、高炉スラグを含む場合に顕著であることが分かった。高炉セメントは我が国のセメントの約4分の1を占めており、CO2排出削減の観点からもその利用促進は国家の重要課題である。しかし、高炉セメントを用いた大型構造物で著しいひび割れが生じる事例が多く報告されてきており、その原因の一つが上記の骨材周囲の損傷であると考えている。研究期間内に、膨張材の添加により、この損傷の制御の可能性を見出すことに取組んだ。膨張材を添加することにより、ペーストの自己収縮が低減される。また、硬化時の膨張を適切に拘束することにより、ペーストのひび割れ抵抗性が大幅に向上することを期待した。結果は、高炉セメントの場合に、膨張材を添加することでわずかに力学的特性が改善した。ただし、試験方法が一軸引張試験であり、引張強度の改善を確認する方法として最適でなかった可能性がある。研究期間終了後も、試験方法の改善を含め、検討を続ける。
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http://www.cvg.ynu.ac.jp/G5/research/research.html