研究課題
本研究は鉄筋コンクリート(RC)構造物における長期変形挙動の予測精度向上を目的とする。乾燥収縮によるひび割れがRC部材の長期変形挙動、特に鉄筋とコンクリートの付着特性に与える影響を明らかにするため、異なる乾燥条件下でRC部材の持続曲げ載荷試験を行い、湿潤状態と乾燥状態の変形挙動を比較することによって乾燥収縮が鉄筋とコンクリートの付着特性における時間依存性に与える影響を明らかにする。本年度は、乾燥条件に着目した鉄筋コンクリート曲げ部材の長期変形挙動を把握するため、・湿潤状態において持続荷重が作用する場合(条件1)・時間と共に乾燥収縮が進む状態で持続荷重が作用する場合(条件2)・部位によって乾燥の度合いが異なる状態で持続荷重が作用する場合(条件3)の3条件について実験を行った。その結果、以下の知見が得られた。1 乾湿が部材全体で一様に変化した場合、部材全体がほぼ均一に収縮・膨張するため、曲げ部材の曲率の変動は小さいが、軸方向ひずみは大きく影響を受ける。2 曲げ変形を与えた状態で部材の圧縮側あるいは引張側を湿潤させた場合には、湿潤した側が膨潤する。同様に乾燥させた場合は乾燥した側が収縮する。3 部材の圧縮側と引張側で乾湿の条件が異なる場合、圧縮側が湿潤状態で引張側が乾燥状態のとき、部材の軸方向ひずみは緩やかに収縮する傾向にある。逆に、圧縮側が乾燥状態で引張側が湿潤状態のとき、軸方向ひずみは明確に膨張する傾向を示す。4 膨張コンクリートを用いたRC曲げ部材の時間依存変形について曲率に着目して考察を行った結果、膨張コンクリートは普通コンクリートに比べ乾湿による影響が小さくなることが明らかとなった。
すべて 2006
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Journal of Advanced Concrete Technology Vol. 4, No. 1
ページ: 193-207