研究概要 |
本研究では,過酷な塩害条件を想定してあらかじめ塩化物イオンを混入した鉄筋コンクリート供試体を用意する。この供試体に対してDFRCCを用いて陽極材であるチタンメッシュを接着した後に,電気化学的補修工法を適用し,補修効果および剥落防止効果を確認する。平成18年度に得られた結果を以下に要約する。 (1)本研究の配合条件では,PVA繊維を混入したDFRCCはW/Bが37%の場合より45%の場合の方が大きな曲げじん性を示し,WBが37%の場合で比較すると,PVA繊維よりPE繊維の方が大きな曲げじん性を示した。 (2)本研究で提案した工法による通電処理を実施した結果,鉄筋近傍のコンクリートからの脱塩量は,従来型のデサリネーションで得られる脱塩量と同程度であった。また,供試体中の鉄筋電位から,鉄筋に防食電流が供給されていることが確認された。 (3)通電処理により,DFRCC陽極層と母材コンクリートとの接着強度が低下した。特にPVA繊維を混入したW/Bが37%のDFRCCをせっちゃくした場合に,顕著な接着強度の低下が認められた。 (4)DFRCC陽極層を接着した供試体は無補強の場合に比べ,曲げ耐力や曲げじん性が増加したが,その効果は通電処理により低下した。また,PVA繊維を混入したW/Bが37%のHPFRCCを接着した場合は,曲げじん性の低下が顕著であった。
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