研究概要 |
本研究では,様々な腐食環境,構造部材・部位や経時性が鋼材の腐食挙動に及ぼす影響を空間統計学的に明らかにした上で,構造物の経年劣化(腐食劣化,力学性能低下)の評価・予測手法を確立することを目指す.申請期間内には,経時性を考慮した空間統計モデル(以下,時空間統計モデル)を構築する.また,ACM型腐食センサ(以下,ACMセンサ)の測定・解析から得られる腐食環境パラメータを導入した時空間統計モデルによる構造部材の腐食劣化のシミュレーション手法を提案する. 平成18年度は,鋼板と溶接継手の試験体を製作し,それらの試験体を用いた大気暴露試験を開始した.暴露地点は海岸からの飛来塩により腐食環境が比較的厳しいとされる沖縄本土の南東部に位置する西原町(海岸線から2kmの地点)とした.大気暴露された試験体の表裏面や角度(水平,垂直,45度)の腐食環境の違いが腐食挙動に及ぼす影響を定量的に把握し,それらの経時的な相関関係を解明するために,ACM型の腐食センサ,温湿度センサ,太陽電池パネルやバッテリなどを用いて腐食環境モニタリングシステムを構築した.試験体の大気暴露期間は6ヶ月,1年,2年,4年を予定している.現在,6ヶ月間大気暴露した試験体を回収することで,腐食生成状況,表面性状,重量変化などのデータを得ている.また,6ヶ月間の腐食モニタリングデータから温湿度,結露降雨,付着塩分量などの腐食環境パラメータの解析に至っている.
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