研究概要 |
土粒子径が0.075ミリ以下の細粒分を多く含む砂の液状化強度については未だに不明な点が多く,設計面からも大きな問題となっている。すなわち既存の液状化判定法では,細粒分が多くなるにしたがって貫入抵抗値から得られた強度の割り増しをすることになっている。しかし,室内液状化実験によれば,低塑性の細粒±を混合した砂は,同程度の相対密度の下で細粒分含有率F_c=5〜10%以上で強度が半分程度まで低下することが多くの研究で示されており,多くの設計指針類との間に矛盾が生じている。 本研究では,設計上重要な影響をもつこの問題を抜本的に明らかにするための試験法の開発を目的に,一般に広く用いられている三軸試験機に対して,繰返しせん断過程前後の供試体の中でコーン貫入試験を行えるような簡便な試験方法を開発する。本年度は,主に下記の6項目に着目した研究を行った。 1.小型貫入コーンを組み込んだ特殊な三軸装置用ペデスタル(供試体径100mm),および貫入抵抗値が計測可能な小型貫入コーン,バルブなどの作成。 2.液状化試験前後にコーン貫入試験が実施できるように既存の三軸セルの改良。 3.豊浦砂などによる予備実験。 4.低塑性な細粒分を含む河床砂などを対象に,小型貫入コーンを含む供試体に対して貫入〜液状化試験の実施。 5.貫入ロツドの存在とその貫入が液沃化試験結果におよぼす影響の明確化。 6.貫入抵抗値〜液沃化強度の関係を既往の類似研究と比較し,開発試験法の妥当性の検討。 すなわち,小型貫入コーンを組み込んだ三軸試験機により,きれいな砂もしくは低塑性な細粒分を含む砂の貫入抵抗値を簡便に求める方法を開発し,従来個別に行われていた貫入試験および液状化試験を同一供試体内で簡便に行う新しい実験手法を提案した。また,小型貫入コーンが一連の試験結果に及ぼす影響因子を分析し,貫入抵抗値と液状化強度との関係を比較した。
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