研究概要 |
土粒子構造と水分特性や荷重載荷時の変形特性のメカニズム解明のために,拘束圧10,100kN/m^2作用下でのせん断挙動,体積変化,間隙比と水分特性履歴の関係を把握するとともに,撹乱,不撹乱の土粒子構造の違いがそれらに及ぼす影響について考察した。 不撹乱土でのサクション(土粒子間に作用する毛管張力)は,破壊までは間隙比や飽和度にあまり依存せず低下し,破壊後は,拘束圧100kN/m^2の場合において間隙比の顕著な低下が生じ,それに伴う飽和度増加によると思われるサクション低下が生じた。拘束圧が大きいほど,間隙空気の排気による土骨格の変形が生じやすく,初期飽和度が比較的高い状況下で,団粒化したペッドが乱されたり,ペッド内に保持されていた水分が流出したり,ペッド間の間隙が狭まったりして,間隙比の変化を伴わなくともペッド内やペッド間の乱れに起因する土粒子構造の変化によりサクションが低下し,破壊後,つまりペッドが十分乱された後は,間隙比の変化が生じるといった挙動が観察された。一方,撹乱土ではいずれの試験条件でも間隙比や飽和度に対してサクションはほとんど低下しなかった。そして拘束圧10kN/m^2以上では,せん断初期から間隙比が低下し飽和度が増加する傾向にあったが,間隙の減少によるメニスカス力増加の影響と思われるサクションの上昇が生じた。 以上のことから撹乱,不撹乱の団粒構造や初期飽和度,保水形態の違いによる間隙比,水分特性履歴の挙動を定性的に把握できた。今後本研究の成果を,地盤の強度評価の精度向上に役立てる。
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