研究概要 |
エアレーションに伴う砕波-構造物の力学的応答を評価するためのパラメータを決定するため数値的,実験的研究を行い,以下の研究成果を得た. 1.数値及び物理実験による飛沫の発生予測モデルの構築 昨年度開発した水面から飛沫への分裂過程を再現可能な砕波数値モデルにより砕波ジェットから放出される飛沫の分散過程を計算し,飛沫の体積率を見積もる確率モデルを開発した.蛍光励起を利用した可視化実験により数値実験と同一の砕波条件に対する飛沫形成過程を調査した結果,数値実験では解像できない微細飛沫が,砕波ジェットの着水時に形成され5m/sを超える高速度で拡散することが明らかになった. 2.Flip-through時のエアレーション過程の特定 砕波が構造物に衝突する直前のジェットの発達度に依存して,爆発的な力が衝突面に働き,流体が加速され飛沫が高速で分散すると同時に水中も急速にエアレーションが進行する.バックライト法を用いた可視化実験により,衝突時の飛沫形状を計測し,飛沫サイズスペクトルを取得した.このサイズスペクトルは0.7-0.8mmにピークを持ち,衝突点からの距離に応じてその勾配がピークより小径側で急に,大径側で緩やかになることが明らかになった. 3.砕波衝撃力のモデル化 砕波ジェットの落下速度だけでなく空気塊の封入,メディアの違いをパラメータとした衝撃圧時間変化の統計モデルを開発した.このモデルによりジェットの衝突直後の急峻な圧力上昇と最大圧力そしてその後の減衰過程を実用上十分な精度で見積もることが可能となる.
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