研究概要 |
本年度は主に,(1)降雨-流出過程を完全に閉じることが可能な屋外スケールモデル実験サイトで降雨中の遮断蒸発量の降雨強度依存性、気温依存性などを明らかにすること,(2)飛沫蒸発フラックスを直接的に計測する手法を確立すること,を目的として研究を行った. (1)水収支残差から求めた遮断蒸発量の基礎的検討 既存の屋外スケールモデル実験場(日本工業大学敷地内)において遮断蒸発特性の基礎的検討を行った.50m×100mの敷地の一角(6m×6m)に集水域を設置し,流出量や降雨量を0.1mm精度でモニタリングした.そして水収支の残差(流出-降雨)から降雨中の遮断蒸発を定量的に求めた.2006年9月から翌年1月21日までに本サイトで得られた降雨数は32で,最大降雨強度にして0.1-13.1mm hour-1,総降雨量にして0.2-134.5mmまでと有意な幅を持った降雨イベントが得られた.一降雨中の遮断蒸発量は0-4.9mmであり,これらは飽差に大きく依存することがわかった.降雨開始時の飽差が大きくなるほど遮断蒸発量は増加する. (2)飛沫フラックス計測システムの構築 粒径別測定が可能な雨滴粒子測定用パーティクルカウンターを購入し,超音波風速計と同期計測させることで渦相関システムを構築した.またこの飛沫フラックス計測システムを実際の都市キャノピーに適用し,都市域における粒子フラックスをモニタリングした.降雨時に飛沫量の増加傾向がみられることが明らかになったが、フラックスの定量評価に関しては来年度の課題である.
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