研究概要 |
本年度は主に,(1)スケールモデルサイトにおける遮断蒸発量の検討、(2)都市・森林キャノピーにおける遮断蒸発特性の差異の検討、(3) 研究成果のとりまとめ、を行った。 (1)スケールモデルサイトにおける遮断蒸発量の検討 屋外スケールモデル実験場(日本工業大学敷地内:COSMO)における水収支の残差(流出-降雨)から求めた降雨中遮断蒸発の特性を詳細に検討した。COSMOにおけるRIは平均して降雨量の約6%であった。 (2)都市・森林キャノピーにおける遮断蒸発特性の差異の検討 COSMOにおける遮断蒸発量は森林域に比べて小さく,またRIと降雨継続時間や総降雨量との関係は見られなかった.一方,COSMO のRI は降雨初期に大きくなり,初期飽差,及びキャノピー貯熱量と強い相関があることが確認された.森林とCOSMOのキャノピー構造の違いがRI特性に違いを与えたと考え、i.表面積率(SAI)の違い、ii.スカラー粗度の違い、iii.キャノピー下の飛沫が蒸発し得る空間の有無、iv.キャノピー熱容量の差異について、それぞれ検討したところ、これらの要素が都市と森林での遮断蒸発特性の差異を説明する有力な候補であることがわかった。 (3)研究成果のまとめ 以上の研究で得られた成果は、土木学会、水文水資源学会、気象学会などで発表するとともに、国際ジャーナルWater Resources Researchに投稿を行った。
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