平成18年度は「衛星観測データに基づく大規模湖沼・ダム貯水量変化のモニタリング手法の確立」を目的として研究を行い、以下の成果を得た。 1)衛星画像データに基づく湛水面積変動の計測手法の確立:MODIS画像(NASA/DAACから取得)を用いた湛水面積変動の計測手法について、精度向上が図られた。なお、天候に左右されずに地表面観測が可能な合成開口レーダ画像(J-ERS1/SAR等)の利用は、MODIS画像が雲の影響のために利用できない場合に有効であることが示された。 2)衛星高度計データに基づく貯水位変動の計測手法の確立:NASA/PODAACにアーカイブされているTOPEX/POSEIDON、JASON-1の衛星搭載型レーダ高度計データに基づく貯水位変動の計測手法の精度向上が行われた。ここでは、地形の影響で発生しているノイズを自動的に除去/軽減する手法も開発され、本手法の有用性が明らかにされた。 3)貯水量推定モデルの開発(貯水位-面積-容量曲線):従来手法(衛星画像および衛星高度計情報から貯水位-面積-容量曲線を求める手法)の精度向上に加え、DEM(数値地形情報)を利用して貯水位-面積-容量曲線を推定する手法について検討が行われた。 4)衛星観測データに基づく貯水量推定手法の推定精度の評価 アメリカならびに日本の大規模ダム貯水池を対象として、本研究で開発した貯水量モニタリング手法の検証がなされた。その結果、本手法は年々変動ならびに季節変化を十分に捉えており、衛星観測データに基づく大規模湖沼・ダム貯水量の全球モニタリングシステムの構築に対して、本手法は有用であることが、確認された。
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