研究概要 |
本研究では2つの数値計算法を併用した越波飛沫シュミレーション手法の開発を目的としている.一つは気液二相流の解析に実績があり,水塊の分裂・結合を解析可能なCIP-CUP法である.これにより護岸等の構造物に波が作用し高く打ち上がる現象を再現する.しかし,CIP-CUP法は基本的に格子を用いた計算法であるため,波に比べてスケールが格段に小さい飛沫の飛散過程を計算することは困難である.そこで,打ち上がった水塊を小さな粒子で置き換え,粒子法を用いて飛沫の飛散過程を再現する.このオイラー系手法とラグランジェ系手法の結合により,これまで再現が困難であった越波飛沫のシュミレーションを可能にする. 平成18年度の主な成果は以下の通りである. 越波飛沫を対象とする際は,気液二相の取り扱いが前提となるため,気液二相の取り扱いに実績のあるCIP-CUP法を用いて,護岸等の構造物に波が作用した際に発生する打上げや水塊の分裂・結合等の複雑な現象を計算するための基本的な計算アルゴリズムを構築した.ついで,それをもとに計算プログラムを作成した.ただし,この手法は,水塊の分裂を表現できても,オイラー系解法であるため計算格子の解像度から,飛沫のような細かい粒子の計算は事実上不可能である.そこで,飛沫の発生および飛散過程については粒子法を用い,波が護岸に作用し打ち上がった部分の水塊を粒子で置き換え,この粒子が飛沫となって風により輸送されるものとする.異常の方針に基づき,粒子法による基本的な計算アルゴリズムについて検討した.次年度は,これら2つの数値計算手法を双方向に結合する基本的な数値計算アルゴリズムを構築し,計算プログラムを作成すると同時に,計算精度の検証,問題点の抽出等のための水理模型実験を行う.なお,水理模型実験には,当研究室所有の断面2次元反射吸収式造波風洞水路を用いる予定である.
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