研究概要 |
平成18年度は,(1)難分解性有機物濃度の推定法の開発,(2)人間活動量の算定および渡良瀬川の水質縦断分布調査,(3)流域の土地利用と河川流量の関係の整理を行った.以下にその詳細をまとめる.1.難分解性有機物濃度の推定法の開発 1.難分解性有機物濃度の推定法の開発 河川で保水した水の溶存酸素量(以下DO)と全有機炭素量(以下TOC)について保水日から100日間の時系列変化を測定した.その結果,保水後5目間で分解された易分解性有機物濃度と分解されなかった難分解性有機物の構成率を算出できることがわかった.また,保水後100日間のDOおよびTOCの減少に関する数理モデルも提案した(佐藤ら[2007]). 2.流域の人間活動量の算定および渡良瀬川の水質縦断分布調査 渡良瀬川流域を対象として,人間活動量の指標である人口分布および土地利用の構成を調査し,有機物濃度との関係を調査した.その結果,人間活動の影響が大きいのは下流域であることが判明したため,今後は下流部に往日して詳細な調査を行うこととした.また,渡良瀬川の有機物濃度の季節変動を調査した結果,春に高く,秋に低い季節変動があることを確認した.(上岡ら[2006],横尾ら[2006],木南ら[2007]) 3.流域の土地利用と河川流量の関係の整理 本研究の手法には,労力のかかる河川流量測定を行うことを前提とする点に弱点がある.そこで,流域の地理条件と河川流量の関係に立脚して河川流量を予測する方法の実現可能性を調べた.その結果,流域の地理条件から流況曲線が描ける可能性があることが明らかになった(横尾・有価[20071,横尾・長尾[2007]). 平成19年度は,難分解性有機物流下量および渡良瀬川流域における人間活動の関係を整理し,河川水質基準値を参考にしながら渡良瀬川下流域の人間活動許容量の算出を行い,一連の研究成果をまとめる.
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