研究概要 |
本研究は,美しい地域づくりを目指し,日本各地の地域の持っ魅力を高め,公共空間・社会資本整備を行うために,それぞれの地域の風土に根ざした景観評価手法を提案することを目的としている.具体的には,伝統的な水辺景観を有する熊本県下の白川・緑川流域において,インフラストラクチャーと地域住民との関係に着目しっっ,地域が主体となった景観の創造を支援するために,以下にあげる3つの目標を設定している.(1)歴史・文化などの地域の持つ個性の景観的評価(2)地域システムの発展プロセスの景観的評価(3)自主的景観形成プログラムの提案 平成18年度は、上述(1)〜(3)のうち,「(1)歴史・文化などの地域の持つ個性の景観的評価」について,以下のような形で研究を行った. 【土木史的アプローチ】地域の持っ魅力,個性の基盤となる風土を明らかにするために,インフラストラクチャーに着目して,記録文献,技術資料,諸統計,図面,写真,絵図などの都市基盤整備情報についてデータベースを構築した.該当地域の水辺には,治水という根元的な目的の他に,舟運や農業用水,上水の確保などの利水,都市の身近な水辺としての親水・環境面における様々な地域コミュニティとインフラストラクチャーの関わりが存在した. 【景観工学的アプローチ】上記の土木史的アプローチより明らかとなった地域の個性が,適切な景観となって形成されているのか評価した.具体的には,当該地域において歴史的な景観資料を収集,各年代における水辺景観の認知モデルを構築し,地域景観の経年変化及び周辺地域との比較により調和性,場所性,継承性,独自性などの項目について景観評価を行った.
|