研究概要 |
流入制御における多様な制御目標に対する経験的知識を利用した既存研究を参考として,制御効率を高めるために,制御目標に対する合目的性および交通状況変化に対する適応性の側面を考慮してモデル構築を行った. 1)都市高速道路における交通制御の理念を整理し,交通制御方法の有効性の評価基準を明確にする.さらに,交通制御の効果計測方法として,広域な都市道路網を対象とした交通シミュレーションを用いた評価方法を示した. 2)実際の流入車両に対する物理的な制御方法の観点と,交通状況に応じた流入台数決定方法としての制御モデルの観点から流入制御方法を体系的に整理した. 3)利用者の交通行動面から,流入調整実施に対する経路変更行動モデルを記述した.制御対象でない入路への迂回経路選択も含めたモデルを構築し,流入制御の実施にともなう各入路における流入台数の変化を推計可能とした. 4)一般道路での時間帯別交通量配分と,都市高速道路利用車両を対象とした交通シミュレーションを融合し,個別車両に対する流入制御の影響を詳細に表現可能とした.これより,個別車両レベルでの流入調整の効果分析が可能となった. 5)交通管制官の経験的知識を利用したファジィ制御を基本としたモデルを構築した.ここでは,本線区間の渋滞長,流入需要量,待ち行列長の3指標により,5分間流入交通量を決定するファジィ制御ルールを記述した. 6)一般道路に関する経験的な知識を用いたファジィ制御ルールの改良を行った.ここでは,一般道路代表区間の所要時間は制御決定要因とし,提案したファジィ流入制御モデルを再構成した. 7)交通状況が非定常な状態にある場合について,制御効果の時間遅れを考慮し.予見的ファジィ制御ルールを導入した. このように,基本的な交通制御理念に対応した各種の制御目標を明確にし,それぞれの制御目標に応じたファジィ流入制御モデルを構築し,その適用性について整理した.
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