研究概要 |
1.参詣道を軸とする門前町における景域形成 京都の山辺に立地する社寺とこれらをつなぐ参詣道を軸とする一連の門前町の景域として東山の祇園・下河原・清水周辺を対象とした.山辺に展開された名所を連接させるこの景域は,京都の風土の中で固有に発達してきた.実測や3Dモデルの分析による地形条件や,参詣道の発達の経緯,門前町の空間的構成を調査し,景域の特徴およびその構成原理を明らかにした. (1)参詣道と周辺における敷地形成経緯の調査及び地理情報の収集 現在の道・敷地の構成に至る歴史的経緯を絵画史料,文書,及び建築学分野の既往研究などを用いて整理した.また現在および過去の地理情報を整理した. (2)空間のタイポロジーと景域構成の把握 歴史的経緯と設えられた意味的空間を,先に明らかにした地理情報と相関的に把握しながら,対応する空間的特徴毎に系としてまとめ,総体としての景域の構成を整理した. (3)景域形成原理の考察と整理 景域の固有性の要因になる構成やその背景,構成上の秩序,系の形成原理,自然・遊興の導入法を整理した. 2.英国都市郊外の開発によって展開した景域形成 京都郊外(洛外)の参詣道の発達にとって重要であった近代に,多くの面でその手本として影響力をもった英国における(主に立地条件の類似性を持つSheffield)郊外の開発を対象として,その景域の成り立ちと,参詣道を軸とする門前町における景域形成を比較した.現地におけるデザインサーベイおよび空間のタイポロジーの把握を行い,さらには周辺における景域構成を調査し,把握した.
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