研究概要 |
本研究では,実際の交通網上において現在運用されている,または近い将来可能となることが予想される動的交通制御手法を,動的配分の理論を用いることによって交通網の時空間全体にわたって評価し,より効率的な制御を行うための知見を得ること目標とする.平成18年度は下記の研究を行った. (1)動的配分理論の構築と分析 動的交通制御手法の評価の基盤となる動的配分理論の構築と分析を3つの観点,すなわち(1)スケジュール制約のある利用者を想定したときの限界費用問題(2)動的均衡配分理論の解の唯一性に関する分析(3)動的均衡配分理論の安定性の検証から行った.(1)では,混雑する道路ネットワークに利用者が追加されたときの限界費用問題を分析することを行い,どのような個人特性の利用者が混雑により悪影響を与えるかを調べた.この結果は交通制御の対象となる特性を知るために有用である.また,(2)および(3)の結果として,動的な交通網における均衡配分理論の適用可能性について一定の知見を得ており,これらの成果は現在学術誌および国際会議へ投稿中である. 動的配分理論には多くの既存研究があり,それらを活かすことは本研究の計画にもとりこまれている.しかしそれらの種類や特徴は非常に多岐にわたり,研究目標の達成に必要な広範なレビューのためには相当の労力が必要である.このために海外の研究者と協力した広範な既存研究調査のためのプロジェクトを立ち上げている. (2)動的交通制御手法の調査 評価の対象となる動的交通制御手法の調査を行っている.今年度は主に平面交差点における交通制御の実態に関する情報収集を行った.既存の信号処理における問題点および実務的な制約条件について,この方面の研究者および実務家の持つ知識を収集することを行っている.
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