研究概要 |
本研究では,1.諸外国における観光地入り込み客数および観光客意向調査実施の実態把握,ならびに2.周遊パターンを考慮した観光地入り込み客数の推定について,以上の2点を明らかにする予定であるが,本年度は特に1について取り組んだ.これらに取り組む背景であるが,2006年12月の観光立国推進基本法制定があげられる.昭和38年に制定された「観光基本法」から約50年の経過を経て全面改定に至ったものであり,観光への機運の高まりと考えることができる.これら改訂された内容と比較しながら,各国の観光に対する取り組みの特徴を組織,予算,計画体系・策定の観点から,より効果的な観光振興・開発について検討する必要が考えられる.モンゴル,韓国を事例として,組織,予算,計画体系・策定の観点から,観光への取り組み状況比較を行った.モンゴルでは,州組織との役割分担が明確であるとともに観光基金といった予算の裏付けを行っていること,観光地開発に優先順位をつけていることが明らかとなった.また,観光客意向調査では,日光,箱根の観光者の行動・評価の特性把握を目的とし,比較のため外国人観光者と日本人観光者を対象とした質問紙調査を実施した.両観光地において日本人観光者の多様な立ち寄り行動がみられた.日光・外国人観光者では期待の最も高い観光対象が訪問率の高い観光対象と一致し,全体評価も 比較的高く,訪問箇所が分散していた箱根・外国人観光者とは異なる評価特性を示した.また,自然に対する事前期待がより高かった箱根・外国人観光者は事後評価で日光に下回った.これより,観光対象側の資源の違いとともに評価者が来訪前に持っていた期待が事後評価に影響を与えていたことが考察できた.
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