| 研究概要 |
本研究は,災害時にも防災拠点として使用可能な空間構造物を具現化することを目標とした,ラチスシェルの動的崩壊性状の分析,崩壊挙動の評価手法に関する研究である。
平成18年度において,まず現在日本国内に存在するラチスシェルの現状調査を行い,本研究で対象とするモデルを設定した。その調査より研究の対象とした二層立体ラチスドーム,単層ラチスドームのモデルを設定した。更に,それらのラチスドームを対象として,水平方向に地震動を受ける場合の動的崩壊性状について分析し,崩壊加速度および崩壊直前に発生するひずみエネルギーの予測手法を提案した。この結果を受け,平成19年度は,ラチスシェルの実挙動を把握するため,基本的な構造であるアーチ構造を対象とした地震応答実験を行った。ここでは,支持構造の固有周期と屋根構造の固有周期の関係および支持構造の質量の違いが地震応答性状に与える影響について明らかにし,更に既往の研究において提案した地震応答評価手法の妥当性について検証した。引き続いて現在は,曲率を一方向のみに有する屋根型円筒ラチスシェルを対象として,地震動を受ける場合の実挙動の分析を行っている。また,昨年度に引き続き,二層立体ラチスドームを対象として,動的崩壊挙動を明らかにすることの前段階として,構造物の基本性状である静的座屈性状を分析した。ここでは,支持部の境界条件と網目形状の違いが座屈性状に与える影響について検討している。
平成20年度には,19年度に対象とした屋根型円筒ラチスシェルの実挙動について更なる分析を行い,構造物が塑性化を伴うような過大な入力に対する応答の分析および応答低減機構の付加による応答低減効果について明らかにする予定である。
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