研究課題
鉄筋コンクリート建物を対象としたスリップ型の2軸非線形復元力モデルを提案した。鉄筋コンクリート部材の復元力特性は、低荷重時に荷重の増減がほとんどない状態で変形のみ増減するスリップ性状を示すことがある。提案したモデルは、塑性論を利用した完全弾塑性の2軸のアナロジーモデルを拡張したマクロモデルである。テンソルで表現されたスリップ変位を提案し、スリップ領域を表す関数を力のポテンシャルとすることで、簡素な形に定式化されている。他方向加力時のスリップ性状を把握するために、主筋の付着を除去した鉄筋コンクリート柱試験体を用いた3方向加力実験を過去に行っており、提案した復元力モデルはその実験結果を巨視的に表現できることを確認した。提案したモデルを用いた1質点系の地震応答解析を行った結果、固有周期によって応答最大変位が非常に大きくなる場合があることがわかった。今後も地震応答解析による研究を進めていく。高強度材料を用いた鉄筋コンクリート扁平梁・柱接合部材と鉄骨鉄筋コンクリート扁平梁・柱接合部材の実験を行った。扁平梁は、柱より幅が広く、梁成の低い梁で、扁平梁と柱の接合部材を用いた繰り返し加力実験を行った。試験体は3体で、圧縮強度約60N/mm^2のコンクリートと降伏強度約470N/mm^2の異形鉄筋を用いた十字型接合部材とト字型接合部材、鉄骨鉄筋コンクリートの十字型接合部材、を各1体作製した。実験結果より、高強度材料を用いた十字型およびト字型接合部材ともに、曲げ降伏型の復元力特性を示し、梁の曲げ計算強度を発揮すること、SRC扁平梁・柱接合部材の復元力特性は、RC造のものよりも良好な履歴ループを描くこと、SRC扁平梁・柱接合部材の曲げ強度を評価する場合、梁断面内の鉄骨の偏心を考慮する必要があること、などの知見を得た。
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