鉄筋コンクリート(RC)耐震壁の多軸非線形復元力特性を把握するために、耐震壁の3方向加力実験を行った。縮小率7分の1程度のI型RC耐震壁試験体を3体作製し、耐震壁に面外方向力が作用した状態での面内方向への繰り返し加力、および、軸力変動など、これまであまり行われていない載荷経路を採用した。軸力比0.1の一定軸力下での面内方向繰返し加力において、面外方向水平力を作用させない試験体と、面外方向の曲げ計算強度の半分程度の一定面外方向水平力を作用させた試験体の結果を比較すると、面内方向の復元力特性には面外方向水平力の影響がほとんど見られなかったが、その影響は面外方向の大きな変形に見られた。一定の面外方向水平力下で変動軸力と面内方向繰返し荷重を作用させた試験体の結果より、面内方向の曲げ強度は、低軸力では面外方向水平力の影響をほとんど受けず、高軸力ではその影響が大きいと考えられることがわかった。また、壁板破壊後に側柱のせん断破壊を防止するための設計用せん断力の評価方法についても検討した。 RC耐震壁に高速飛翔体が衝突した後の耐震壁の耐力を把握するために、耐震壁の衝撃実験と静的加力実験を行った。試験体を3体作製し、2体に質量500gの鋼製飛翔体を時速700kmで壁面に衝突させ、貫通させた。1体は飛翔体が貫通した穴を補修し、もう1体は補修しなかった。耐震壁のせん断耐力を把握するために、試験体3体に1方向単調加力し、衝撃の影響や補修の効果を考察した。今回の実験では、衝突による貫通孔を開孔として計算した耐震壁のせん断強度以上の耐力を示した。
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