| 研究概要 |
液状化・側方流動地盤における杭の変形・破壊モードを解明するために,遠心実験を実施した.遠心実験は,液状化地盤を用いて,上部構造物の有無,振動台入力波形,基礎根入れの有無をパラメータとして行った.また,遠心実験結果,および,過去に実施した大型震動台実験結果を基に杭に生じる応力について検討を行い,以下の結論を得た.
1)入力の固有周期によって地盤変位の増大が異なる.すなわち,入力動に短周期成分が多く含まれ,その卓越周期が地盤の固有周期より短い場合は,間隙水圧が上昇し地盤が液状化に至った後も地盤変位は小さい.一方,入力動に長周期成分が多く含まれ,その卓越周期が地盤の固有周期より長い場合は,液状化後の地盤変位の増大は著しい.
2)上記の結果,短周期成分が卓越する入力動の場合は,液状化しても,杭の応力の増大に地盤変位が与える影響は小さい.一方,長周期成分が卓越する入力動の場合は,液状化後,地盤変位の増大によって生じる土圧に杭の曲げ応力だけでなく軸応力も大きく影響を受ける.
3)大型震動台実験より,非液状化地盤においては,杭の軸応力は深度方向に小さくなる傾向がある.これは,杭表面に作用する摩擦が影響していると考えられる.一方,液状化地盤では,軸応力は深度方向にほぼ一定であり,大きな軸力が深部まで伝達される.このことから,液状化地盤では,杭-構造物系のつり合いが非液状化地盤の場合と大きく異なることが確認できる.
4)杭の水平分担荷重は非液状化地盤においては隅杭で最も大きくなる.一方,液状化地盤では,中央杭で大きくなる可能性がある.これは,非液状化地盤と液状化地盤では地盤反力の発生メカニズムが異なるためである.
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