研究概要 |
平成18年度は24体の中心圧縮実験を行い,これまで行ってきた実験結果14体と合わせて総計38体のデータにより応力ひずみ関係の特性値の検討を行った。実験変数はアラミドベルト(以後,ベルトと略称)の初期緊張ひずみ,ベルトの補強間隔,ベルト幅のタイプ(シングル幅,ダブル幅)および主筋比である。以下に研究成果を示す。 1.圧縮強度時のベルトのひずみ増分:圧縮強度時におけるベルトの初期緊張ひずみからのひずみ増分を整理した結果,ベルトを無緊張のときはひずみ増分はほぼ0μ,緊張すれば約525μで評価でき,その算定式を提案した。 2.強度上昇率:本研究では拘束コンクリートの強度上昇率は無拘束コンクリート強度実験値からの上昇率で評価する。実験より,試験体に導入するプレストレスが大きくなれば強度上昇率も大きくなるが,プレストレス導入量が大きくなり過ぎれば,強度上昇率が低下する傾向も見られた。また,強度上昇率算定式を提案した。 3.拘束コンクリート強度時の圧縮ひずみ:強度時ひずみは,帯筋補強のように強度上昇率と相関があることを確認した。また,強度時ひずみは主筋比の影響を若干受けるが明瞭ではない。本研究では,主筋比の影響を取り入れた強度時ひずみ算定式を提案した。 4.降り勾配:実験より,圧縮強度以降の降り勾配はベルトの体積比が大きくなれば緩やかとなり,補強間隔が大きくなれば,急になることが分かったが,実験変数である主筋比の影響が見られない結果となった。 平成19年度は平成18年度の研究課題である,1.強度時ひずみと降り勾配への主筋比の影響について確実なデータを収集すること,2.プレストレス導入量が大きい場合に強度上昇率が低下する傾向があったので,この場合のデータを確実に収集すること,に焦点を当てて実験を行い,全実験データを反映した応力ひずみ関係式を提案し,研究目標を達成したいと考えている。
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