研究概要 |
(1)実測調査 垂壁付き独立柱構造を主要な水平耐力要素とする伝統的木造建築の典型的な例として書院造り・農家・町家などの伝統的な住宅建築が挙げられる.申請者らは過去に,重要文化財である書院造り建築32棟や農家の実測調査3棟を行っているが,町家の実測調査は数が少なく主要な構造要素を調査する必要がある本研究では過去の調査に引続き、伝統的木造住宅が移築保存されている飛騨民俗村(岐阜県)にて飛騨高山地方の町家型に近い伝統的木造住宅2棟を対象に実測調査を行った. (2)実大実験との比較 兵庫県の農家型木造住宅(築55年)から垂れ壁付きの門型フレームを切り出し,振動実台験を行った.実際に住宅の中で用いられていた垂れ壁付き独立柱構造の動的性質を評価し,更に既存の解析モデルによる評価との比較を行った.接合部の構造性能を適正に評価することで垂れ壁付き独立柱の構造性能を定量的に評価することが可能であると考えられる.詳細については「佐藤弘美,藤田香織ほか:伝統的木造住宅における垂れ壁付き独立柱の振動台実験 その2 解析モデルと実験結果との比較」として平成19年度の日本建築学会大会学術講演に投稿中である. (3)検証実験の計画 前述の調査結果及び申請者らが行ってきた垂壁付き独立柱を有する伝統的木造住宅の一連の実験結果を踏まえ比較的一般性の高い形状を決定し,垂れ壁付き独立柱の縮小模型と接合部要素の縮小模型を実験対象とする.垂れ壁付き独立柱の試験体は1/2縮小模型1体(11万円)とする.接合部要素の試験体は過去の研究から差鴨居3種,貫+長押1種の4種類(各5万円)とする.実験は正負交番静的水平加力試験とし,首都大学東京内大型実験場にて行う.ひずみゲージ(1枚630円),現有の変位計等により計測を行う.接合部実験の結果を基に,接合部形状による構造性能を付加して解析モデルを構築し,垂れ壁付き独立柱実験によって検証を行う.
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