本研究では、リアルタイム地震防災を目的として、構造物の対震性能の向上を目指したセミアクティブ制震(振)システムと地震発生直後からの都市および建築構造物の安全性評価が可能な構造ヘルスモュタリングシステムを統合したしたセンサネットワークによる自律分散型のスマート構造システムの開発を行っている。初年度となる平成18年度は、ピエゾケーブルを用いた損傷発生検知システム、特にき裂の発生を検知するシステムの開発を行った。ピエゾケーブルを用いた本システムにより、複雑な計算を必要とすることなく、簡易にき裂発生を検知できるため、損傷発生通報装置の実現が可能となっている。プロトタイプとして、マイクロコンピュータによる衝撃検知システムを作成している。この研究成果の一部は、国内シンポジウムおよび国際会議で発表済みである。 セミアクティブ制震(振)については、センサや制御装置の故障の際のフェールセーフ機能が重要であるため、個々の制御装置が独立して制震(振)を行う自律分散型制御アルゴリズムを提案している。この制御アルゴリズムでは、個々のダンパごとに設置されたマイクロコンピュータが個々に独立して、制御力を決定七、構造物を制震(振)し、応答低減を実現している。この研究成果についても、国際会議にて一部を発表している。 また、センサネットワーク端末として、種々の数値計算が可能なdsPICマイクロコンピュータをコアとし、TCP/IPで通信する独自端末の開発を行い、プロトタイプの作成に至っている。
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