研究概要 |
長崎県雲仙普賢岳には,1億m^3超の噴火堆積物が不安定な状態で堆積している.本研究は,堆積した噴石をコンクリート用骨材に有効利用するため,その材料特性について実験を行い検討した.普賢岳噴石(以下骨材)はデイサイトであり,赤と黒の2色がある.骨材露出仕上げの実施を念頭に置き,色別の特性を調べるため,産地そのまま,赤,黒の3種類について,普通骨材に小江原産の砕石を選定し比較した.普賢岳骨材は,普通骨材の絶乾密度,吸水率の品質規格を外れた.普通粗骨材の平均粒度分布に従うように調整し,普通骨材を用いたコンクリート(以下普通コンクリート)の設計と同様に調合を決定した.細骨材には壱岐産の砂を使用し,強度試験用に円柱供試体および建築用コンクリートブロックを作製した. 普通コンクリートと同様,普賢岳骨材を用いたコンクリート(以下普賢岳コンクリート)の圧縮強度と密度の関係は正の相関にあった.強度の増分に対する密度の増分は,前者より後者が小さい.ヤング係数について,密度に実験値を考慮し,かつ骨材を表す係数として小江原砕石に1.20,普賢岳噴石に0.95を与えると,実験値/計算値の平均値が1.01,変動係数14%,特に普賢岳コンクリートについて平均値が1.00,変動係数が7%と高い精度で評価できた. コンクリートブロックは,断面形状を空洞,外部形状を基本形,寸法を標準精度ブロック390mm×190mm×100mmとした.使用する普賢岳骨材の寸法を2.5-5.0mmとし,調合はコンクリートブロックC種を参考にした.C種は全断面に対する圧縮強度8N/mm^2以上を必要とする.打込みから加熱積算温度4,000℃・時を経過した時点で,気間状態,2時間吸水を行った状態,それぞれ3体ずつ実施した.いずれの状態においても,下限値を上回り基準を満たし,必要な強度を満たすことができる見通しが得られた.
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