研究概要 |
筆者らは、木炭を室内の調湿に活用する手法として、トロンブウォールの通気層側に木炭ボードを内張した仕組みによるパッシブな調湿システムを考案している。このシステムは日中と夜間で換気経路を切り替える事で、日中の日射による木炭の乾燥・再生と夜間の室内空気除湿を行うものであるが、木炭の湿気伝導率の大小により吸放湿応答の遅れが生じるため木炭の性能を十分に発揮できない場合がある。そこで本年は、吸着塔の仕組みにより木炭一空気間の水蒸気交換を促進するハイブリッド調湿システムを新たに考案し、その実用可能性について以下の2点について基礎的な検討を行った。 1)木炭の造粒手法の検討 木炭の粒子は強度が低く時間の経過とともに微細な粉末となるため吸着塔が目詰まりする、といった問題が生じる。そこで、木炭の粉末を水や他の材料と混合し一定の強度と粒径を付与する必要がある。そこで、25℃,85%における平衡含水率を測定した14種類(針葉樹混合,ヒノキ,ナラ,サクラ,樫,杉,木屑,楓銀杏,松,竹)の木炭の中で最も含水率が高かった竹炭の粉末を用いて、カオリンクレイ、ペントナイト、水と練り混ぜて造粒を行い、日干し乾燥の期間などに応じて造粒物の強度が異なる事を観察した。また、造粒物を塩化力ルシウム水溶液に含浸させることで強度や吸放湿性能が上昇するか検討を行ったが、造粒物は焼成していないため結合力が弱く含浸により形状を維持する事はできなかった。 2)木炭の造粒物の吸着速度の把握 一端にファンを接続したアウリル管の中央部に造粒物を充填し、充填層内に気流を通過させる事の出来るチャンバを製作し、様々な気流速度及び流入空気湿度条件で運転を行い、充填層前後の空気湿度の連続測定結果から木炭充填層の吸着速度及び平衡含水率曲線の同定を行った。これにより、気流速度を説明変数とする吸着速度の予測式の作成を行った。
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