昨年度に引き続き、一端にファンを接続したアクリル管の中央部に試験体(木炭の造粒物)を充填し、充填層内に気流を通過させる事の出来るチャンバを利用して、木炭の種類および気流速度を変えて吸放湿特性についての実験を行った。また、この実験結果を熱水分同時移動理論に基づく数値モデルにより再現することで、木炭の湿気物性値の同定を行った。 次に、外気や室内の温湿度、日射量などの任意の条件下における木炭の吸放湿特性を予測するための数値モデルの構築を行った。この数値モデルにより、当該調湿システムを実際の建築物に応用した場合の性能を予測評価する事が可能となる。モデルは、木炭充填層内の空気及び木炭の熱収支式、空隙の水蒸気及び吸着水の物質収支式、吸着水の吸着平衡式の連成モデルで、木炭充填層への日射熱取得及び建築壁体や室内空気との熱輸送を考慮している。なお、木炭の湿気物性パラメータについては、実験結果に基づき決定している。 最後に、構築した数値モデルを用いて、ハイブリッド調湿システムの除湿性能に関する数値実験を行った。数値実験において考慮した因子は、木炭の長さ及び厚み、流速、設置方位、季節などである。 以上により、木炭を用いたハイブリッド調湿システムの性能評価の基礎データを得た。
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