これまでの検討により、戸建住宅形状の建物における風圧係数予測において屋根棟部分における極端な負圧の発生を、メッシュを極分割することにより、解消可能であることを示した。本年度はこの分割方法について、明確なメソッドを構築することに着手した。建物に影響を及ぼさない領域については、直交格子を用いた単純なメッシュ形状とし、建物近傍では建物形状に沿うように、薄いレイヤーメッシュを用いる。両者を結合する空間にマルチブロック手法を適用し、形状によるメッシュの歪み、連続するメッシュとの入出射角度を極力小さくすることを試みた。数パターンの検討の後に屋根棟部分のような形状に最適な分割手法を提案した。 続いて、戸建て住宅が実際のように密集している状態における予測精度向上のための検討を継続して実施した。周期境界条件を用いることにより、計算負荷を小さくすることは昨年度までに可能となったが、本年度では、周期境界を適用する際の建物分割方法についても検討を実施した。風向角度が建物正面の場合には、建物形状も半分にし、乱流モデルとして、RNGモデル、Durbinモデル(α=0.65以上、1以下)を適用することにより、高い予測精度が確保できることが判明した。 開口部通過時における流管解析プログラムの改良に着手し、全圧、動圧、静圧の変動を詳細に把握することが可能となった。筆者らが開発した通風量予測モデルである「局所相似モデル」の考え方と連動して開口部周辺の圧力場をモデル化し、開口部通過時における動圧→静圧への転換過程等を示した。 本年度から所属を移籍した関係で計算マシンが変更となり、LESソルバーの再最適化について、現在実施中ある。
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