本研究は幼稚園の幼児を対象に子どもの基礎運動能力と室内空気質および温湿度を中心とした居住環境に関する調査を行い、ヒートショックや室内化学物質空気汚染などの居住環境ストレスが子どもの基礎運動能力に与える影響について明らかとすることを目的とする。研究は研究助成期間以降に継続的に実施し、子どもが成人になるまでの約15年間の追跡調査を行う予定である。室内環境が子どもの成長や発育にどのような影響を与えるか調べるためには、長期追跡調査を行う予定である。平成18年度は平成19年度・20年度に本格的に実測調査を行うための予備調査として、簡便・高精度に室内環境と子どもの運動機能を測定することができる測定方法について検討を行う。子どもの身体能力についてデータの蓄積がある文部科学省の「体力・運動能力調査」を参考に、居住環境ストレス(ヒートショックや室内空気質によるショックなど)に対する耐性を測定するため、頭部および脚部の血流量を直接無侵襲で測定可能な近赤外線酸素モニタにより、子どもの自律神経系の運動機能を測定する方法を開発する。また、室内アレルギー物質の代表格であるダニ量の測定に着目し、室内床面を掃除機で吸引しダニの量を測定する手法について詳細に検討した。アンケート調査により、子どもの健康状態と嗜好、住まい方を明らかとするため、米国Ashford、Millerが作成した環境因子から生じる健康障害の質問票QEESIと、アスペルガ-症候群などの子どもを対象とした学習障害に関するアンケート用紙を参考に、子ども向けの質問票を新たに作成した。
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