1.分散型エネルギーを用いた環境資本の普及状況について、以下の調査研究を行った。 (1)文献調査・学会研究会等を通じて行った情報収集、データの入手可能性等の要素を考慮し、都市開発の環境社会資本の調査対象として、主として分散型電源を用いたエネルギーの面的利用を選定した。 (2)分散型電源に関する制度のうち電気事業法に焦点をあて、近年の電力事業自由化に関する制度改正や構造改革特区による特例による分散型エネルギー供給の事例に関する資料収集・ヒアリング調査を行った。これら分散型エネルギー供給事業者が定性的には環境負荷削減効果を実感していることや、多様な電力供給形態を許容し分散型電源の普及に資すると考えられた電力小売自由化が、電力価格の下落を通じて、昨今の原油価格の上昇ともあわせてむしろ普及の阻害要因となっていることを明らかにした。この研究成果は計画行政学会の全国大会で発表した。 (3)分散型電源のうち排熱の面的利用に焦点を当てた分析として、全国の普及状況に関するデータが公開されている熱供給事業について情報を収集し、上記の電気事業法に関する事例と合わせて、日本の分散型電源によるエネルギーの面的利用事例のデータベースを構築した。 2.分散型電源による環境負荷削減の効果分析に向けて、モデル分析の前提となるエネルギー消費実態に関するデータの収集を行った。分散型電源によりエネルギーの面的利用を行っている事業所を対象に。エネルギー使用状況に関するデータ供与について打診を行い、エネルギー供給事業者と複数の需要家の双方について協力の回答をいただいた事業を調査対象に選定した。その上で、対象とした事業者の日報データはデジタルデータの形で保管されていなかったため、モデル分析を行うにあたり、電力・熱のエネルギー消費実態に関する日報データのデジタル形式のデータ変換を行い、エネルギー消費状況データベースを整備した。
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