平成18年度においては、文部科学省在外研究において構築した劇場データベースの確認、それに基づくイタリア全土における劇場の状況分析を行いながら、それと並行して、本研究の対象の中心であるエミリア・ロマーニャ州に関する調査分析を行った。事前の文献等調査及び現地の関係者との調整により対象事例を選出し、1O月8日から22日に渡り現地においてヒアリングを中心とする調査を実施した。 当初予定対象地のボローニャではなく、ラヴェンナのテアトロ・デッレ・アルベ、モデナのテアトロコムナーレ、テアトロストルキ(ERT)、レッジョ・エミリアのコルテ・オスピターレ等の劇場及び行政としてはリッチョーネ市について芸術監督を中心に担当者に対して、それぞれの活動状況、意識に関するヒアリング調査を実施した。 共同組合方式で平等の理念のもと地域と世界双方のレベルで活動を行うテアトロ・デッレ・アルベ、様々なジャンルを地域に提供しようとするテアトロ・ディ・トラディツィオーネというカテゴリーに属するモデナのテアトロコムナーレ等、それぞれの劇場が地域との関係性を強く意識しながらも多様な活動を展開している状況、また、行政として劇場活動を地域に提供することが責務と考える社会的、文化的背景があることを把握した。 なお、現地においては、それら実態調査に加え、文献の収集も行った。また、イタリアにおける劇場に関する統計整備に関する会議の傍聴を行い、今後の研究についての新たな指針も得た。
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