初年度は、データの入手と調査、可視性特徴量の開発、分析用データベースの作成に加えて、基礎的な分析を行った。 データの入手と調査では、京都府警犯罪情勢分析室から街頭犯罪発生データを入手した。さらに調査地区(京都市西京区、伏見区)に関して分析に必要な都市空間のデータとして、ゼンリンのZmapTownII、10mメッシュの土地利用データや、国勢調査の100mメッシュデータなどを用いて分析に必要なGISデータベースを作成した。また、京都市伏見区では、対象街路の夜間照度を照度計とGPSを用いて連続的に計測した。また同地区において、建物ファサードをビデオカメラにより撮影した。 可視性特徴量の開発では、建物階数を用いて任意の地点における空間の可視性を近似的に計測するアルゴリズムを作成した。可視量の計算は、離散的に求めた視線線分を集計し、視体積や水平・鉛直方向での可視量分布などからなる指標を開発した。 分析用データベースの作成では、犯罪発生地点のほかに犯罪非発生地点をランダムに選択し、各地点の特徴量を計算し、分析用のデータベースを構築した。また京都市伏見区では道路上の歩行人数を推定する方法も提案した。 そして、既に調査済みである京都市西京区における車両犯罪の発生に関して、可視性特徴量を開発・計算し、エマージングパターンなどを用いて、車両犯罪が発生しやすい地域の特徴について分析を行った。また、京都市伏見区ではひったくりを中心とした犯罪の起こりやすさを、決定木分析により街路単位で行った。
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