平成18年度に引き続き、大阪における調査とともに、海外事例の調査を行った。 大阪では、身近な事例として本学大学生が都市を見る際にどういう視点から見つめているのかを探るために、グループダイナミクスの視点から学内ワークショップを開催し、参与観察を行った。その成果については一部学会発表などを行っている。 また、海外事例においては、大きく以下の二つの領域に絞り調査を行った。一つは、新たな都市景観を形成する際に大きな契機となる災害とその復興。もう一つは個人的な嗜好や表現が街へ展開されたアートフェスティバル。一つ目の事例としては、アメリカでの災害復興事例を收集するべく、アルバカーキで行われたNVOADの年次大会へ参加し、情報を収集すると同時に、西海岸サンフランシスコ地震で被害を受けた地域の復興を調査した。特に、サンタクルーズでは物語復興という観点で住民の手によって進められた災害復興まちづくりの事例をインタビューなどにより調査を行った。 また二つ目の事例としては、本年度にヨーロッパにて行われた、ミュンスター彫刻プロジェクト、カッセルドクメンタ、ヴェネチアビエンナーレの3つのアートフェスティバルを現地調査および資料収集した。3つの共通点は、美術館や博物館という建物に限らず、街の中で様々なアート表現が展開され、それがまちづくりの一環を担っているという点である。大阪でもアートカレイドスコープなど、都市空間へ展開するアートフェスティバルの動きが見られるが、本年度収集したヨーロッパの事例や、来年度以降収集するアジア等他地域との比較を通じて、都市景観への影響を探る必要があることが明らかになった。
|