本年度は、評価手法の基礎情報となる大気汚染ガス濃度推計モデルと、ミクロレベルの土地利用予測モデルの開発を行った。 研究対象地域(徳島市周辺部)の道路網、土地利用、人口、幹線道路の交通量、施設の位置(工場、役場、駅)、標高、傾斜、区域区分、観測点別大気汚染ガス濃度観測値のデータをGIS上で整備し、それらを用いて、数量化I類分析を行った。目的変数は観測点別大気汚染ガス濃度観測値、説明変数は前述したこれ以外のデータである。用いた大気汚染ガス濃度は、対象地域およびその周辺の20箇所とし、NO2とSO2を分析対象とした。数量化1類分析から得られる推計式を用いて、100mメッシュ単位でNO2とSO2の推計を行った。その結果、大まかな濃度分布傾向を捉えることはできたが、精度の向上が課題として残った。 土地利用予測モデルの開発では、これまで研究代表者らが研究を進めてきたモデル開発で得られた知見を踏まえ、より精度を向上させるために、ミドルスケール、ミクロスケールの2段階で予測が可能なモデルを考案した。ミドルスケールでは、3次メッシュ(約1km)単位で、ニューラルネットワーク(NN)を用いた土地利用予測モデルを開発した。次年度はこの3次メッシコ.別土地利用予測モデルの結果を用いてミクロスケール(約100mメッシュ単位)で、土地利用動向の予測が可能なモデル開発を進める予定である。 次年度は大気汚染ガス濃度推計モデルを改良し、土地利用予測モデルと組み合わせ、大気汚染ガス吸収量を指標とした、都市開発計画評価手法の開発を行う予定である。
|