研究概要 |
本研究は,人口・世帯減少・高齢化社会への都市計画的対応に関して,ドイツと日本を主たる対象として,地区レベル、自治体レベル、広域レベルにおける空間計画的手法及び運用がなされているのかを分析し,その効果と課題を明らかにすることを目的としており,本年はこのうちドイツについて広域レベルの計画的対応に関する調査を,主として東ドイツ地域を中心に行った。その結果,以下の点を明らかにした。 縮小プロセスにおける広域的指定の方法としては,複数の自治体を連携させつつダウンサイジングさせる(従前より下位の指定を行う)方法をとっている州と,同様に連携させつつ,逆にアップグレードさせる(従前より上位の指定を行う)方法をとっている州が見られること。ただし,その具体的効果については,いまだ計画策定段階にあり,今後の運用に委ねられている面も少なくないこと。 複数の近接、隣接する自治体間の連携手法としては,「役割分担」の発想に基づいて各種都市施設の整備内容やそれに伴う都市機能負担に関する調整が行われている場合があり,また州も積極的にそのような連携を推進していること。 過疎地域においては,行政が主導的に商業機能・地域コミュニティ機能等の機能を有した複合的施設の整備を行い,地域における最低限度の生活水準の維持を図っていること。 これら本研究で得られた知見は,今後我が国において,特に地方都市において顕著になっていくことが想定される人口減少等の傾向を踏まえた,新たな広域計画制度の設計を行う際に,非常に重要な示唆を与えるものとなっている。
|