本研究は、高齢者向け賃貸住宅建設の新たな展開の方法として高齢期グループリビングに着目して、このシステムを高優賃建設に取り入れるための供給条件の再検討と支援策を検討することを目的としている。グループリビングのシステムを導入するための研究資料として18年度、19年度の調査によってノルウェー、デンマークのグループリビングの継続状況を明らかとした。また、18年度には全国高優賃の実態調査によって協同空間の使われ方と支援体制に分析ができた。しかし、本研究を開始した時点では殆ど建設されていなかった高齢者向け専用賃貸住宅(高専賃)や適合高齢者専用賃貸住宅が介護保険法施行規則で設定され、2007年から高優賃は特優賃と予算が一体化され、地域優良賃貸住宅として建設支援が始まるなど、時々刻々と制度が追加、変化していた。これは研究背景にあった高齢者向け賃貸住宅建設が増えないことへの対応策である。さらに高齢者円滑入居住宅(高円賃)の増加は低質な高齢者住宅の供給につながるなど新たな問題も現れてきた。これらの高齢者向け賃貸住宅が大量に供給されることによって、高優賃の位置づけに変化が現れてきていた。そこで、平成20年度は高優賃に限らず高齢者向けに供給された賃貸住宅の現状整理と18年度に行った全国高優賃の実態調査以降に建設された高優賃の追加調査を行い、18年度調査との比較を行った。配布125票、回収56票(回収率44.8%)である。また、グループリビング型高優賃建設事業の可能性を探るために代表的なNPO関係者3名へのヒアリング調査を実施した。 これら3年間の研究資料をもとにグループリビング型高優賃建設となるための供給条件と支援制度の検討を行った。
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