研究概要 |
【Mg-Al-Ca基チクソモールディング成形材への希土類元素(ミッシュメタル:Mm),Srのマイクロアロイング】 上記成形材に対してMmを単独でマイクロアロイングした結果,0.5mass%以下のMmを単独添加し,473K以下の低温で熱処理を施すことによって,粒界に連続的に導入されたAl-Ca系晶出物の分解が最小限となり,粒内に微細な析出物が導入されることで強度が増加した.しかしながら1mass%以上の過剰なMmの添加は上記粒界晶出物の量を低下させ,強度も低下した.これはMm-Al間の化学結合力がCa-A-間のそれよりも強く,粒界に塊状の粗大なAl-Mm化合物が生成されるためである. Sr単独添加材では,粒界晶出物量の著しい低下は認められなかったが,粒内への析出量もほとんど認められず,強度の改善効果は小さい. MmとSrの同時添加材では,粒界に塊状化合物はほとんど形成されず,単独添加材に比べて高いクリープ強度が得られた.TEM観察において,母相の底面に平行に積層欠陥と非常に類似した面状のコントラストが多数認められたが,これらが転位と直接相互作用している様子は認められず,底面上での転位の拡張も認められなかった.一方,粒内にはc軸方向に平行な棒状析出物とc軸方向に伸長した析出物の2種類が観察され,特に後者の量はMm単独添加材に比ぺ大巾副こ増加した.この析出物と転位は相互作用しており,複合添加材では析出強化によって強度が上昇したと考えられる. 【Mg-Y-Zn基合金へのAg,Ni,Caのマイクロアロイング】 上記合金へAgおよびNiをマイクロアロイングした結果,粒内の積層欠陥密度は3元合金よりも低下し,その硬さも減少した.一方,Caをマイクロアロイングすると,粒内の積層欠陥密度は著しく上昇し,硬さの増加が認められた.このことから,本系合金の粒内積層欠陥密度と硬さには正の相関があると考えられる.
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