研究概要 |
Si, Al, O原子が原子レベルで均一に混合されている"ゼオライト"に着目し、これを出発原料とした発光中心元素の局所周辺環境が制御された窒化物蛍光体の開発を行った。まず、発光中心である希土類元素が無添加の系においてサイアロン合成を試みた。その結果、ゼオライトを出発原料とするとSiO_2-Al_2O_3混合粉末系を出発原料とするよりも高純度のサイアロンが合成できることを確認した。また、その生成メカニズムをNMRなどにより明らかにした(関連投稿論文4報)。申請者は今までに、蛍光特性の制御、すなわち発光中心元素の局所構造の制御のためには周辺原子(〜3Å)のさらに周辺(〜10Å)も制御することが重要であることを見出してきた。そこで、窒化物蛍光体の局所構造制御に極めて重要な、非晶質原料から生成物(Si-Al-O-N非晶質:Eu^<2+>,結晶性窒化物:Eu^<2+>)へのサブナノメータースケール(〜10Å)のネットワーク構造の変化過程を解明するため高エネルギー放射光X線に着目し、回折データ(61.7keV : Wavelength=0.20Å,Q_<max>=25)より実空間のサブナノメータースケール(〜10Å)の構造変化を明らかにした。この際、SiO_2がアンモニアで窒化される挙動を高エネルギー放射光X線により解析し、窒化物ネットワークが生成する過程を明らかにし、その知見を基にサイアロン生成過程を明らかにした(関連投稿論文1報)。また、得られた基礎的知見をもとにEu^<2+>の高配位化、Eu-Nの短距離化を実現させ、Eu^<2+>の局所周辺環境が制御された、α及びβサイアロン蛍光体の作製を行った。その結果、紫外光励起黄色発光の蛍光体の作製に成功した(現在投稿論文執筆中)。
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