研究課題
ナノカーボンの代表的な材料であるカーボンナノチューブとポリマーで構成される複合材コンパウンドを作製するにあたり、他材料との接着性が良好であるカップスタック型カーボンナノチューブ(CSCNT)を強化材として選択し、母材として常温で液状でありナノチューブとの混練が比較的容易であると考えられる熱硬化性エポキシ樹脂を選択した。構造的純度の高いコンパウンドを作製するために、CSCNTを混合したエポキシ樹脂を自転公転式真空脱泡攪拌機により混練脱泡し、各種形状の試験片に加熱成形した。その結果、CSCNTが均質に分散し、気泡のない構造が得られたが、本研究で対象とした材料系ではCSCNTの混合率は1.0wt%以下が限界であり、これを超えると樹脂粘度が高くなり良好なコンパウンドが得られないことがわかった。次にコンパウンドの力学的特性、熱的特性および電気的特性を評価し、CSCNTの混合率との関係を調査した。その結果、CSCNTの混合率が1.0wt%以下程度では顕著な物性の向上は得られないことがわかった。そこでコンパウンドの加熱成形時に磁界または電界を作用させ、CSCNTの繊維配向を制御してコンパウンドの物性を向上させることを試みた。その結果、磁界および電界を作用させることにより、ともに物性の顕著な向上が得られた。これにより、CSCNTの混合率が低くても繊維配向を制御することによりコンパウンドの物性を効果的に高められることが確認できた。また、同材料を用いてアクチュエータ要素を製造するために、シリコンゴムの反転型を用いて複雑形状部品を成形する技術を確立した。これとCSCNTを配向させる手法を融合させて、今後高機能なアクチュエータ要素を作製することを目指す。
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Proceeding of the 7th International Conference on The Science and Application of Nanotubes (NANOTUBE 2006)
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