平成18年度は新規な熱還元処理装置を開発するための基礎研究として、装置特性を理解するための研究を主体に行った。当初は原料のTiO_2超微粒子(平均粒子径1μm以下)の気流輸送による連続供給を検討する予定でいたが、まずは飛散回収される原料超微粒子の飛散挙動の把握が重要であると考え、ガス分散板のあるタイプ(通常型)とないタイプ(噴流型)の装置を用意し、各装置からの微粒子の飛散特性を調査するとともに、装置内での粒子の流動化挙動との関連性を明らかにする事を目的とした。 実験に使用した微粒子は0.8μmのTiO_2超粒子である。これらを所定量(15〜37%)粗大粒子である平均粒子径0.5mmのアルミナボールに均一に手混合し、内径52mm、高さ1.15mの透明塩ビ製カラムに静止層高で0.04〜0.13m充填した。空塔基準ガス速度0.4〜2.0m/sで混合粒子を流動化し、各操作条件における微粒子の飛び出し速度定数K_i[kg m^<-2> s^<-1>]を求めた。なお、噴流型については底部のコーン角度を30゜、45゜、60゜に変化させて実験を行った。 層内微粒子の初期濃度を変化させて実験を行った結果、TiO_2超微粒子が安定に飛散する層内微粒子濃度領域が存在した。従来型の装置を使用した場合、TiO_2超微粒子のK_i直は空塔基準ガス速度及び粗大粒子静止層高の増加とともに増加したが、従来提出されている推算式では推算値が実験値より1桁大きく見積もられる事が分かった。属値は粗大粒子の静止層高の増加とともに増加したことから、TiO_2超微粒子の飛び出しが層表面のみで生じているわけではない事が示唆された。 平成19年度は平成18年度の研究で作成したK_i値と層内超微粒子重量分率との関係図を熱還元処理装置の設計に役立てるとともに、実際に光触媒を合成し可視光応答性を評価する。
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