平成19年度は尿素を含む二酸化チタン超微粒子懸濁液あるいは乾燥粉末の熱還元処理を本研究課題で提案した流動式(媒体粒子の流動層)および従来の静置式(電気炉)にて行い、得られた超微粒子の熱還元処理状況を調べるとともに、可視光照射下でのメチレンブルー脱色性能を比較した。 超微粒子の粉末状での気流輸送による供給は付着トラブルが多発するため、研究期間的な制約から安定供給可能な懸濁液滴下供給方式を流動子規熱還元処理装置に採用することとした。 基準原料として、石原産業社製ST-01(一次粒子径7nm)に尿素を60g/100g-TiO_2混合させた2M尿素スラリーの乾燥品(ST-O1+2U)を用いた。これを0〜10%水素のガス流通下で静置式にて2時間熱処理を行った。10%水素雰囲気では250〜650℃の範囲でアナターゼ相を維持したまま黄色の粉末となったものの、800℃ではアナターゼ相に加えてルチル相、900℃では完全にルチル相へ転移し淡青色の粉末となった。XPS分析の結果、10%水素熱処理により250℃〜350℃の熱処理試料のN1sピークが低エネルギー側ヘシフトし、Ti-O-N結合の生成が示唆された。一方、同様のガス雰囲気で流通式(媒体粒子アルミナボールφ0.5、静止層高5cm、空塔基準ガス速度0.50m/s、懸濁液供給速度23mL/h)の場合、尿素を4倍量とした試料(ST-01+8U)でも350〜450℃の範囲で同様のピークシフトは観測されなかった。 各試料の可視光照射下でのメチレンブルー脱色性能を比較した結果、静置式では不活性雰囲気(0%水素)において350℃熱処理が最も高い脱色性能を示した。また還元雰囲気(10%水素)での熱処理により脱色性能がさらに向上した。一方、流動式の場合は350℃よりも450℃の熱処理の方が高い脱色性能を示したが、静置式に比べて相対的に脱色性能は低かった。
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