研究概要 |
本研究課題の目的は,複数の機能性セラミックス材料の積層構造からなる膜反応器に代わり,酸素透過機能,表面機能として界面触媒活性を有する全く新しい多機能型フェライト系セラミックス材料を用いることで,触媒材を積層せず隔膜のみのシンプルな構造を有する反応器の開発すること,である.以下に平成18年度の研究成果を列挙する. ・膜材料の選定:触媒材を用いない膜反応器を実現するためには膜を構成する材料が触媒活性を有する必要があるため,ブラウンミラライト型酸化物のうちカルシウムフェライトを新規の膜材料として提案した. ・セラミックス焼結特性の解明:ブラウンミラライト型カルシウムフェライトによるセラミックス体(緻密体)の合成と焼結方法について検討し,カルシウムフェライト原料か焼粉末を遊星ボールミルにより微粉化した条件で,1200℃以上で焼成すると緻密化出来ることがわかった. ・セラミックス体の導電性能の評価:セラミックス体の酸素(イオン)透過特性は電気化学的な導電率により評価した.その結果,上記で合成したカルシウムフェライトは従来の酸素透過材料ジルコニア膜より低温度で高い導電率(700℃で約1 S/cm程度)示すことがわかった. ・触媒活性の評価:本研究で提案する膜反応器は,触媒層を持たず隔膜材そのものに触媒機能を賦与させることを特徴とするため,隔膜材料(カルシウムフェライト)の炭化水素燃焼反応に対する触媒活性を調べた.その結果,カルシウムフェライトが,炭化水素の燃焼に対し300℃以上と比較的低温条件から触媒活性を示し,本研究における膜材料として有効であることを示した.
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