ガラス内部のフェムト秒レーザー加工におけるダイナミクスの時間分解観測装置の作製と、それを用いたフェムト秒レーザー誘起構造変化のダイナミクスの観測実験と観測結果の解析方法の開発を行った。 (1)レーザー加工の時間分解観測装置の作製 従来の過渡レンズ法に基づいた観測装置では時間分解観測と同時にレーザー加工をモニターすることができない上に、観測できる試料の形状に制限があった。本年度の研究で作製した観測装置により、時間分解観測と同時にレーザー照射領域の明視野観察・観測試料の高さ制御・数ミリ角の試料の観測が可能になり、様々なガラス試料に対して応用することや時間分解観測後にレーザー加工領域の詳細な分析が可能になった。 (2)フェムト秒レーザー誘起構造変化のダイナミクスの観測実験と観測結果の解析方法の開発 作製した時間分解観測装置により、様々なガラスでのフェムト秒レーザー誘起構造変化の検出を試み、レーザー照射領域から発生する圧力波と熱拡散過程を観測した。観測された圧力波はガラスの力学的な性質やレーザー照射条件に大きく依存することが明らかになった。また、熱拡散過程の観測結果から、光励起直後の温度上昇・温度分布の幅・冷却速度を見積もった。(レーザー研究Vol35(2007)109-115) また、観測結果(過渡レンズ信号)から圧力波の形などを容易に得るための解析法を開発するために、様々な圧力波の形を用いてシミュレーションを行い、過渡レンズ信号の振動の振幅と減衰速度から、容易に圧力波の強度と幅を得ることができることを明らかにした。
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