研究課題
本研究課題の目的は、屈折率分布変化ダイナミクスの観測装置を開発し、それを用いてレーザー照射後の応力緩和過程と圧力波発生、熱拡散過程を観測することで、ガラス内部のフェムト秒レーザー加工のメカニズムを明らかにすることである。本年度は、材質の異なるガラス・繰り返し周波数・レーザーのパルス幅・照射エネルギーに関する圧力波発生過程や熱拡散過程の違いや、最終的な構造変化と圧力波発生の関係を明らかにすることを目的とした。(1)様々な条件での圧力波測定パルス幅が一定の場合、圧力波発生過程は主にガラスのバンドギャップや熱膨張係数や弾性係数によって決まるが、パルス幅を変化させた時の圧力波のレーザー強度依存の変化がガラスの種類に大きく依存することが明らかになった。特に、多数の元素から構成されるガラスと構成元素数が少ない石英ガラスを比較すると、石英ガラスの方がパルス幅の変化に対して現象が2倍以上敏感であることが明らかになった。また、原子レベルでの構造変化と圧力波との関係を調べると、圧力波の強度と高密度構造に由来する原子配置(Si-0のリングの数)の量に相関があることが明らかになった。(2)熱拡散過程と熱蓄積レーザー照射の繰り返しが200kHz以上になると、温度降下が起こる前に次のレーザーパルスが照射されるため、熱の蓄積が構造変化に影響することが広く知られているが、熱蓄積によってどの程度の温度上昇が材料内部で起こっているのか、全く明らかにされていなかった。今年度の研究で、熱拡散測定と高温下でのレーザー照射と異なる二点にレーザーを照射する実験を行うことで、レーザー照射領域の中央と周囲での温度分布を明らかにした。ここで得られた温度分布は、熱による材料の変形の原因を知る上で非常に有用な情報である。
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