酸化鉄の還元時に発生するCOガスを用いた発泡鉄の製造プロセスの開発を目的として、電解鉄、ヘマタイトおよび黒鉛粉末の混合成形体の高周波誘導加熱を行い、原料中の炭素濃度、酸化鉄の粒径及び添加量、加熱温度などが発泡体の気孔率や気泡径に及ぼす影響を検討し、以下の結果を得た。 1.混合成形体を同径の鉄ディスク上に設置し、鉄-炭素2元型状態図上の固液共存領域まで急速加熱することにより、電解鉄と黒鉛の反応による溶融が開始した後に爆発的に進行するヘマタイトの還元反応によって発生するCOおよびCO_2ガスにより成形体は膨張した。温度を保持することにより、成形体からのガスの離脱が観察されると共に試料は収縮を開始した。このことから発泡製造には最適な保持時間が存在すると言える。 2.急速加熱に際し、低昇温速度では昇温中の還元反応進行によるヘマタイトのロスにより、高昇温速度では成形体内に温度分布が発生し、未溶融部からガスが離脱することにより、気孔率が低下した。そのため、昇温速度は3.3〜5K/sという最適値を持つことが分かった。 3.各炭素濃度において発泡温度には最適値が存在し、Fe-3.1mass%C-1.0mass%Fe_2O_3成形体を1543Kまで加熱することにより最大で65%の気孔率を持つ発泡体の製造が可能であった。最適発泡温度と鉄-炭素2元型状態図上の液相線温度との差で比較すると、炭素濃度の低下に伴い温度差は大きくなった。また、最適温度において発泡体を製造すると、炭素濃度の上昇に伴い気孔率は増大した。 4.添加する酸化鉄粉末の粒径及び添加量を変化させることで、気孔率は35〜65%、平均気孔径は500〜800μmの範囲で制御することが可能であることが示唆された。
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