研究概要 |
燃料油と水を乳化混合した乳化燃料滴を燃焼させた場合、燃料油と水の沸点の違いによりミクロ爆発と呼ばれる燃料滴の自己微粒化現象が生じ、燃焼性が向上する。しかしながら、乳化燃料滴がミクロ爆発を引き起こすメカニズムに関する検討は十分でない。本研究課題では、単一乳化燃料滴がミクロ,爆発に至るメカニズムを実験および理論的に明らかにすることを目的として研究を遂行した。平成19年度は、単一乳化燃料滴における伝熱および分散水滴における気泡核生成を考慮した数値解析モデルを構築し、気泡核生成速度から推算したミクロ爆発強度を基にミクロ爆発発生メカニズムを検討した。さらに、水滴において発生した気泡核の成長挙動を数値解析し、単一乳化燃料滴の加熱過程における気泡核の生成・成長によりミクロ爆発の発生に至るまでのメカニズムについて考察した。 実験および数値解析結果より、ミクロ爆発は乳化燃料滴の表面付近の存在する水滴が過熱限界温度に達した時に急激に沸騰することより発生することが示唆された。また、ミクロ爆発強度の推算結果より、乳化燃料滴の加熱温度が高いほどミクロ爆発が発生する温度が高くなる傾向が得られた。一方、水滴における気泡成長挙動に関しては、発生した気泡核は初期水滴径に比べて最大で約10倍程度の気泡径に数μSオーダーで成長することが示された。以上の結果より、乳化燃料滴中における水滴同士の凝集・合一などの相分離挙動、さらには気泡発生・成長過程における気泡同士の合体がミクロ爆発の発生に大きく影響すると考えられる。今後、本研究課題で提案した解析モデルを改良し、水滴同士の凝集・合体、気泡同士の合体を考慮したミクロ爆発に関する解析モデルの構築が望まれる。
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