非線形光学結晶は波長変換素子として有望であり、非線形光学結晶にレーザが透過すると短波長で高出力のレーザ光を得られる。本研究では、最適な波長変換効率をもつ結晶を探索するために、KDP(KH_2PO_4)とADP(NH_4H_2PO_4)結晶の混晶を作成した。様々な組成の混晶の偏光度を測定し、結晶内の構造と波長変換の関係を考察した。 まず、純粋なKDPとADPの結晶の偏光測定から、以下のように、偏光は結晶内のレーザの入射する角度に影響する3つの現象を示した。 a)(100)面に垂直にレーザを入射すると偏光はおこらない。 b)(100)面に平行にレーザを入射すると偏光はおこる。 c)(101)面にレーザを入射((100)面に斜めにレーザを入射)するとわずかに偏光がおこる。 次に、ADPとKDPの混晶の偏光測定から、ADP結晶に含まれるKDPの濃度が低くなると偏光度は大きい。つまり、ADPは共有性結合をもちKDPはイオン性結合をもつので、K+の割合が少なくなり、NH_4^+由来の共有結合が増えると偏光度が大きくなる。
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